本日千秋楽を迎える『もうひとつの地球にある水平線のあるピアノ』、 役者インタビュー第七弾!四年遠藤と一年中路が三学年の差を感じさせない仲良し(?)なやりとりを見せてくれます😂
どうも。今公演で役者を務めます遠藤です。私事で恐縮ですが、季節の流れるのは早いもので自分ももう4年生になってしまいました。卒論とモラトリアムの終焉という現実に打ちのめされながら残された日々を食いつぶしております。
しかし、自分が属すコミュニティに自分より年上がいないという状態は高3以来のことで、むしろ今は顧問の先生がいないことを考えると完全なる最高齢で、これはなかなか自分に影響をもたらしますね。割とこの20数年間どこでも、周りの人に笑われたりからかわれたり、時にはかわいがられたりしながら生きてまいりました。コミュニティカースト的にも個人の精神的にも人より下に位置していた私ですが、少なくとも年齢的にはコギトで最年長になってしまいました。
こうなってみると後輩がかわいくてしょうがない。個人への好悪の問題ではなくて、後輩という総体が愛隣の対象になってきました。これぞ過保護、老婆心、親心、親馬鹿、兄馬鹿、子煩悩の正体なのか。さらに言えば、後輩が反抗的であればあるほどかわいく思えてくるもんですね。思春期の子を持つ親の忍耐強さに今まで感心しておりましたが、何だかその片鱗を垣間見た気分です。
前置きが長くなりましたが、今回はそんな反抗的1年生のうちの1人、中路夏野を紹介します。
遠藤「じゃあまず自己紹介お願いします!」
中路「中路夏野です。一橋の社会学部1年です」
遠「・・・」
中「・・・」
遠「・・・それだけ?」
中「そろそろ頃合いですね。お疲れさまでした」
開始10秒で帰り支度を始める中路。早速反抗してきました。本当は色々インタビューされたいくせに。素直じゃないんだから。
遠「ちょっと待ってよ!なんかもっとこう、趣味とかないの?」
中「趣味ですか。読書とかは好きですね」
遠「ほう!いいじゃん俺も好きだよ!好きな作家とかいる?」
中「はあ、谷崎潤一郎とかですかね」
遠「まじで!めっちゃ好き!『秘密』が一番好きだわー」
中「じゃあ私は『刺青』にしておきます」
じゃあってなんだよ。実際は中路も『秘密』が一番好きらしいのですがかぶったのが気に食わなかったようです。
中「あとはチャールズ・ブコウスキーですかね。『町でいちばんの美女』が好きです。」
アメリカ人作家ですね。ダーティ・リアリズムの代表的作家とされています。絶望や破滅的生活など、社会の暗い部分を描いた作家であったようです。谷崎といい、ブコウスキーといい、なかなか退廃的な趣味をお持ちなようで。
中「種田山頭火も好きです。私も放浪したい」
退廃への傾倒、放浪への憧憬、ロックですね。彼女が反抗しているのは自分自身の人生、といったところでしょうか。
遠「中路は初めての役者だけど、実際どうですか」
中「面白いです。舞台側から見るとこんな感じの景色なんだあって感じです」
今公演で新たな景色を目の当たりにして彼女の視野も広がった事でしょう。成長せよ若人!
中「そういえば高校のとき、一橋祭来たことあるんですよ。生活圏の近くにあるので」
遠「そうなんだ!じゃあもしかしたら会ってるかもね」
中「いえ、間違えて前日に来てしまって、ダンス練習してるどこかのサークルにガン見されたりして、恥ずかしかったです」
遠「え」
中「どこも出店やってなくて、一橋祭こんなもんかよと舐めてたのですが、次の日来てみたらちゃんとやってて見直しました」
時間すらも彼女を縛ることができないのか。すべては彼女を中心に回っている・・・。
いやいや、普通に日時間違えただけだわ、意外とお茶目さんなんだね。
遠「同期とは仲良くやってる?」
中「まあ、多分」
遠「実際他の同期の事どう思ってんのさ」
中「ええ…言うんですか?」
きっとあらゆることに反抗する彼女のことです。僕のあずかり知らぬところで同期とも連日バチバチに喧嘩しているのでしょう。
中「じゃあ今回役者の二人だけ。
戸水は演劇への学習意欲がすごいです。たくさん舞台観に行ってるし見習いたいです。
川上は自分の意見しっかり持って、それを先輩にも臆せず発信していていいですよね」
意外と褒めてる・・・この子実はとっても素直で謙虚ないい子なんじゃね?
遠「じゃあ最後に、ここではないどこかへ行くとしたらどこに行きたい?」
中「うーん(長考)」
遠「特にないなら別にいいけども」
中「モンゴルですかね。見渡す限り草原っていうのがとっても惹かれます。高校の先生が言ってたんですけど、モンゴルでは風が吹かれた部分の草だけなびいて、風の通り道が見えるみたいです。綺麗な風景だなって思います」
長考の末、とても素敵な答えをしてくれました。そしてここにもうかがえる放浪への憧れ。
遠「じゃあ、あなたではない誰かになるとしたら、誰になりたい?」
中「うーん(長考)」
遠「ないなら全然いいんだけど」
中「誰でもいいです。他の誰かになるということ自体、自分が見ることができない世界を見ることができるようになるという点で新鮮だし、誰の見ている世界でも等しく同じ価値があり、比べて優劣を付けられないので」
なんと尊い思考をお持ちなのだろうか、なんというか、こう・・・良いね。こんな子が世界に増えたらきっと世界は平和になるんだろうなあ。
というわけで中路夏野さんの紹介でした!
遠「最後に写真撮らせて!」パシャ
遠「あの・・・もう少し笑顔で!」
中「え・・・無理です」
遠「ほら、もう1枚!」パシャ
遠「せめてこっち向いて!」
(今日の千秋楽を見に来てくれれば中路の笑顔は見られますね…演技ですが…byブログ管理人)
中路は反抗的だなんだと書いてきましたが、ここまでの流れから察するにどうやら反抗しているのは僕に対してだけなのではないかと思えてきました。嫌われているのでしょうか。悲しいです。
こんな反抗心と素敵なハートを持ち合わせたとっても魅力ある中路夏野を見に、一橋祭公演においでください!